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「聴く」を仕事にして見えてきたこと

はじめまして。

株式会社SOJYU CCOの杉下です。

私はSOJYUで、商品やサービスが本来持っている価値や、

お客様に選ばれている理由を掘り起こす「N1インタビュー」の設計を担当しています。

この記事では、SOJYU立ち上げの経緯や、

私たちのサービスの核でもある「N1インタビュー」について私の視点でお話ができればと思います。

実は、私が代表の高山と出会ったのは映画制作の現場でした。

5年ほど前、当時大学生だった高山が監督を務める映画に、私は参加メンバーの一員として関わりました。

数週間、寝食を共にしながら制作を進める中で印象的だったのは、高山が役者や制作陣の声を受け取りながら、自分で書いた脚本や演出を大胆に変えていく姿でした。

本来、脚本は作品の軸になる絶対的なものです。
けれど高山は、それを一方的に守らせるのではなく、現場で生まれる声や違和感を受け取りながら、作品をよりよい方向へ変えていったのです。

「自分たちの声や感覚も作品に反映されていく」
その実感が、役者や制作陣の熱を生み、チーム全体を少しずつ前のめりにしていきました。
その変化を近くで見ながら、人が本当に動くのは、正しい情報を与えられた時ではなく、自分の感情や納得が動いた時なのだと感じたのです。

この体験は、今のSOJYUが大切にしている「聴く」という姿勢にもつながっています。
聴くことは、相手の言葉をそのまま集めることではありません。その人が何に迷い、何に反応し、どこで納得し、どんな感情の変化を経て動き出したのかを捉えることです。

作品の公開後も、高山とは定期的に食事をしたり、小さなプロジェクトを共にしたりしていく中で、高山が次に成し遂げたい世界観が少しずつ形になっていくのを、近くで見ていました。当時は、自分が会社の立ち上げに関わることになるとは夢にも思っていませんでしたが、彼のエネルギーに引き寄せられるように関わるうちに、「企業が持つ価値を、正しく市場に届ける会社が必要だ」という考えが、高山と私の中ではっきりしていきました。
こうして、気づけばSOJYUの創業に関わることになっていました(笑)

これまで私は、行政や広報、採用支援などの領域で、3,000名以上との対話やインタビューを行い、人の意思決定に関わる仕事をしてきました。その中で繰り返し感じてきたのは、ロジカルな情報だけで人は動かない、ということです。

「業務効率が上がる」「売上が伸びる」「コストが下がる」こうした情報はもちろん大切です。ただ、人が本当に動くのは、その情報が自分の状況と重なった時です。

「今の自分たちにも使えそうだ」

「この不安を乗り越えられそうだ」

「導入した後の変化が想像できる」

「社内に説明できる材料がある」

そう思えた時に、人はようやく一歩を踏み出します。

だからこそ、人がどう迷い、何に納得し、どのタイミングで動き出すのか。それを知ることが、価値を正しく届ける起点になります。

SOJYUがN1インタビューをサービスの核に置いているのは、

受け手が実際に感じている価値を明らかにすることこそ、価値が届く最初の一歩だと信じているからです。

N1インタビューとは、一人のお客様の声を深く聴くデプスインタビューです。

一人のお客様が、どのように迷い、比較し、納得し、最終的に選んだのかを丁寧に掘り起こしていきます。

アンケートや定量調査が多くの人の傾向を捉えるのに対し、

N1インタビューで見ているのは、数字になる前の具体的な意思決定のプロセスです。

なぜ興味を持ったのか。

どこで不安を感じたのか。

何と比較したのか。

何が最後の決め手になったのか。

選んだあと、どんな変化を感じているのか。

こうした具体的な場面を深掘りしていきます。

ここを深く聴いていくと、企業側が「ここが強みだ」と思っていたことと、お客様が実際に価値を感じていたことが違っている場合があります。

SOJYUにとってN1インタビューは、単なる顧客の声集めではありません。

企業と市場のあいだに起きている、価値の伝達のズレを発見するための入口です。

N1インタビューで私が大切にしているのは、相手の話を自分の経験や一般論にすぐ置き換えず、その人自身の意思決定として追体験するように聴くことです。

「それはこういうことですね」と早く決めつけない。

その人がその時、何を見て、何に迷い、何を感じ、どんな順番で納得していったのか。相手の立場に少しずつ近づきながら、決断までの時間を一緒にたどるように聴いていきます。

その前提のうえで、特に意識していることが3つあります。

1つ目は、ストーリーで拾うことです。

「なぜ選んだのか」だけを聞くのではなく、どんな状況で探し始め、何に迷い、どの順番で納得していったのかをたどります。

お客様は最初から自分の本当の決め手を整理して話せるわけではありません。「価格がよかったから」「わかりやすかったから」「信頼できそうだったから」—こうした言葉はもちろん大切です。

ただ、そのまま受け取るだけでは、企業が次に何を伝えるべきかまでは見えてきません。どんな状況でそのサービスを探していたのか、何に困っていたのか、どの瞬間に安心したのか。そうした流れをたどることで、表面的な回答の奥にある本当の選ばれた理由が見えてきます。

2つ目は、ネガティブも拾うことです。

購入や導入の理由を聞くと、どうしても「よかったこと」に目が向きがちです。しかし実際の意思決定には、不安、違和感、迷い、社内で説明できるかどうかの心配など、ネガティブな感情も含まれています。

その不安をどう乗り越えたのか、どの情報が安心材料になったのか、何が最後まで引っかかっていたのか。ここを聴くことで、企業が市場に向けて本当に解消すべきハードルが見えてきます。

3つ目は、感情の変化を拾うことです。

導入前は何を不安に感じていたのか、どの瞬間に安心したのか、導入後にどんな喜びや変化があったのか。この変化の中に、企業が本当に届けるべき価値が隠れていることがあります。

そのために、沈黙を待つ、遮らない、評価せずに受け取る、こちらの仮説を一度脇に置く、「なぜ?」を重ねるより情景を聴く、ということを意識しています。

印象に残っているのは、あるSaaS企業のツールを導入した担当者の方へのインタビューです。開口一番、その方から出てきたのは、こんな言葉でした。

「使い始めてから、社内の会話が変わった気がします」


実はSOJYUが関わる前に提供元であるSaaS企業が前面に出していたのは、業務効率の改善でした。

操作が簡単。

導入が手軽。

コストに見合う。

それ自体は間違いではありません。その担当者も、最初は「業務を楽にしたい」という動機で導入を検討していました。しかし、話を深く聴いていくと、導入後に一番価値を感じていたのは、単なる作業効率ではありませんでした。

ツールを使い始めたことで、チーム内に「この数字、どう見る?」という会話が生まれた。

データが共通言語になり、議論の質が変わった。個人の作業が楽になっただけではなく、チームの動き方そのものが変わっていたのです。

なぜ、そうした変化が起きたのか。

詳しく聴いていくと、そのツールには、個人が作業を効率化するだけでなく、チームで同じ状況を見ながら会話できる機能がありました。

担当者にとって本当に価値になっていたのは、単に作業が早くなることではなく、チーム内で同じ情報を見ながら判断できるようになったことでした。

「便利になる」を伝えていた企業。

「チームが変わる」を体験していたお客様。

どちらも間違いではありません。ただ、価値の深さが違いました。

そして、この「チームが変わる」という価値は、競合との違いを伝えるうえでも重要な軸になり得るものでした。

この言葉は、機能説明の文脈だけでは出てきません。

導入前後で何が変わったのかを丁寧に聴いていく中で、はじめて見えてきた価値です。

N1の声を起点にすると、単なる機能訴求では見えてこなかった訴求軸が見えてきます。

「聴く」を仕事にして見えてきたのは、企業の価値は、企業の中だけでは完成しないということです。

強みや思想は、確かに企業の中にあります。けれど、それが市場でどう受け取られ、どんな場面で「選ぶ理由」になっているのかは、お客様の声を聴かなければ見えてきません。

コンテンツをつくるとき、つい「この動画で何を伝えるか」「誰に届けるか」「どんなトーンにするか」といった、コンテンツの枠の中で目的を考えてしまうことがあります。

ただ、その前に見つめるべきものがあります。

・そもそも、この会社はなぜ選ばれているのか。

・このプロダクトには、どんな本質的な価値があるのか。

・お客様はどんな体験や感情の変化を経て、導入を決めたのか。

・企業が伝えたい価値と、お客様が実際に感じている価値は一致しているのか。

ここを掴まないままコンテンツをつくると、見た目は整っていても、本当に届けるべき価値からズレてしまうことがあります。

自社の価値を伝えているつもりでも、お客様が本当に選んでいる理由とズレていることは少なくありません。そのズレを見つけ、正しく伝わる形に整えること。それが、SOJYUの価値戦略であり、N1インタビューを大切にしている理由です。

もし、

・自社の強みがうまく伝わっていない

・お客様に選ばれている理由を言葉にできていない

・サービスの魅力を、機能説明だけで終わらせたくない

・営業や発信で、相手に刺さっている感覚が弱い

そう感じている方がいれば、ぜひ一度ご相談ください。 

一人のお客様の声を、市場に届く価値へ。

その設計から実装まで、SOJYUが伴走します。

株式会社SOJYU 杉下